平飼い養鶏に愛情たっぷり!白身まで美味しい卵!名古屋コーチンの習性から好物の静岡食材まで

平飼い養鶏に愛情たっぷり!白身まで美味しい卵!名古屋コーチンの習性から好物の静岡食材まで
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最終更新日:2023.09.29 公開日:2023.03.15

静岡県焼津市で平飼い養鶏をするザ・ネクストワンの松浦夕真(まつうらゆうま)さん。鶏に対する愛を感じる彼に、養鶏との出会いから、鶏の好きなエサやかわいい習性、白身まで美味しい卵の食べ方などを伺いました。

目次

平飼い養鶏に魅了された松浦さん

平飼い養鶏に魅了された松浦さん

――なぜ平飼い養鶏をはじめたのか?
高校では、恩師の助言があり農業科を選びました。大学でも農業を学びたいと思い、農学部に入りました。大学の授業で学びを目的としたインターンシップがあり、教授のご縁で偶然、広島県にある平飼い養鶏場に行きました。
そこでは、鶏のエサに地元や国内で手に入る物を混ぜて発酵させたものを与え、鶏糞で畑や田んぼを作り、野菜や米を人間が食べ、食べられない物は鶏のエサにするというぐるぐる回る循環の仕組みを知りました。

高校・大学と主に野菜や果樹などの勉強をしていましたが、初めて養鶏に触れて、平飼い養鶏や循環型農業の魅力にどんどん惹かれていったんです。

そこで地元静岡で平飼い養鶏を探して、ザ・ネクストワンの羽田慎吾(はねだしんご)社長に出会い、入社しました。

ザ・ネクストワン 羽田慎吾社長

――羽田社長(写真左)からみて松浦さんは?
まじめにコツコツと、学ばないといけないことが多い中、よくやってくれています。若い人は発信力もあるので、お客様との窓口も任せているんです。

自分たちのやっている地球にやさしい環境に配慮した農業に関しても、彼は同じ目的をもって取り組んでいるので頼もしいですね。

ザ・ネクストワン 酒井保男

――養鶏部は何名?
2名です。酒井保男(写真左)と松浦で、鶏1,100羽を育てています。
会社全体としては55名ほどいて、主にカット野菜を作っているので、自社で循環型農業ができるんです。

のびのび育つ鶏本来の行動がみられる平飼い養鶏

のびのび育つ鶏本来の行動がみられる平飼い養鶏とケージ飼いの養鶏の違い

――そもそも平飼い養鶏とは?
ケージを積み上げて飼うケージ飼いとは違い、地面に足が着くように放し飼いをするのが平飼いです。

現在、欧州を中心に広がっているアニマルウェルフェアでは、「動物は生まれてから死ぬまで、その動物本来の行動をとることができ、幸せでなければならない」という考えの基、一般的なゲージ飼いは禁止されています。

ザ・ネクストワンはその考えに賛同し、ゲージ飼いではない平飼いで、のびのび鶏たちを育てています。

砂遊びをしたり、止まり木で寝たり、鶏本来の行動

とても手間も労力も掛かりますが、鶏たちは自由気ままに鶏舎内を歩き回り、砂遊びをしたり、止まり木で寝たり、鶏本来の行動をして暮らしています。

鶏のかわいいところ

――鶏のかわいいところは?
エサをもっていると、ものすごく集まってくるところです。
「かわいいな~おなかすいているんだね~」と思いながら、エサをあげています。

鶏のエサ、人気No.1は?

移住していちご農業

――どんなエサをあげているの?
資源の循環を目的に、自社農場で野菜を生産し、その野菜をカット野菜や加工原料にし、そこで出た野菜の皮や切れ端を鶏に与えて、鶏糞は農場の堆肥にしています。

写真は、野菜を粉砕機にかけている様子です。キャベツの外葉、大根の葉、パプリカの芯や種などを食べやすいように細かくしています。野菜の種類は季節によって変わります。

360度赤くする、甘くする

鶏たちのエサは、地域の資源を活かし、通常捨ててしまうようなものを循環させることにこだわっています。
具体的には、野菜の他に、国産米・糠を中心に焼津市周辺の地域の資源である、なまり節や煮干し、おから、酒粕などを与えています。

――なまり節とは?
かつお節の原型で、生のカツオを茹でたり蒸したり加工したものです。この後、燻製を繰り返してカチカチに固くして主にダシをとるのがかつお節、やわらかいまま食べるのがなまり節です。

1粒1粒全て手作業でいちご栽培

――鶏に人気のエサは?
人気なのは、なまり節と煮干しですね。一番人気なのは、なまり節かな。食いつき方が違います。

安全安心ないちご

――人気のエサは食いつきが違う?
はい、通常はその場でついばんで食べるのですが、なまり節や煮干しは取り合ったり、別の場所に運んで独り占めしたりして食べています。

――すごい!特別なものなのですか?
煮干しは近くのラーメン屋さんからいただいています。他にも、おからは豆腐屋さんにいただく国産大豆のものですし、酒粕は静岡の由比(ゆい)にある酒蔵のものです。

水は、豊かに流れる近くの大井川の伏流水を飲んでいます。

名古屋コーチン育成のこだわり

平飼い養鶏のこだわり ヒナ

――養鶏のこだわりは?
ヒナから育てることもこだわっています。ヒナの時から周りの菌に対する抗体を付け、広いスペースを自由に動き回り、病気に負けない身体を作りやすくし、ワクチンや抗生物質を使う必要がなくなります。

あとはやはり地産地消で輸入穀物に依存せず、地球環境にも配慮した地域循環型農業がこだわりであり強みです。

静岡で名古屋コーチン

――卵から孵すことは?
名古屋コーチンが自家増殖をしてはいけないことになっているので、卵から孵すことはできないんです。だからヒナから育てるのが一番早い段階になります。

――なぜ静岡で名古屋コーチン?
養鶏事業の目的に、エサの残渣(ざんさ)の処理があるので、食べる量が多い品種がよかったからです。名古屋コーチンは原種に近いのですが、品種改良をされた鶏は少ないエサで早く育つようになっているので、原種のほうがたくさん食べます。

名古屋コーチンは産卵率が低いので、手間がかかる品種だと思います。

 ――どのくらい卵を産むの?
生まれて半年位から卵を産み始めて、そこから1年間が一番産む時期です。多くて1日1個~3日で2個くらい卵を産んで、年齢と共に徐々に少なくなっていきます。

今、足が不自由な鶏をペットのように飼っているのですが、その子が3歳を過ぎていて、2~3日に1個くらい卵を産んでいます。

名古屋コーチン育成のこだわり

――鶏の寿命は?
鶏の寿命は10年くらいです。本当は天寿を全うするまで飼いたいのですが、現在はそうもいかず、あまり卵を産まなくなると1年半ほどで出荷しています。鶏を屠畜場(とちくじょう)へ出すのが精神的に一番つらいです。初めて屠畜場へ行ったとき、こうやっていのちが食卓に繋がっているということを知りました。

「いのちを頂く」とよく言いますが、実際にいのちを相手にする仕事をしてみて、改めて人はいのちの上に成り立っているものなのだと実感しています。この仕事には鶏の死がつきものですが、仕事として割り切らないといけない部分もあります。これからも鶏たちのいのちとどう向き合っていくかは考え続けていきたいです。

今のところは、できるだけ鶏を長く飼育し、畑の除草や野菜クズを食べてもらうなどの役割を果たしてもらいたいと考えています。

白身まで美味しい卵をお届け

白身まで美味しい卵をお届け 進藤春那

――どんな卵なのですか?
ザ・ネクストワンの名古屋コーチンのたまごは「王様のたまご」と名付けており、美しい桜色が特徴です。桜吹雪と呼ばれる白い斑点が付いている物もあります。少し小ぶりですが、たまご全体に対する黄身の割合が多く、クセのない優しい甘みとしつこくないコクが特徴です。

――梱包担当は、進藤春那さんですね?
はい、卵が割れることのないように細心の注意を払い、丁寧な梱包を心がけています。私のおすすめの食べ方は、手書きで追記して同梱して、緩衝材には静岡県焼津市の特産品「魚河岸」のデザインを使っていますので、届くのを楽しみにしていてください。

「王様のたまご」は、定番の卵かけご飯

――おすすめの食べ方!ぜひ教えてください!
「たまごかけご飯」と「ふわふわ甘いたまご焼き」が私のおすすめです。白身にもしっかりと味がついていて、弾力があります。

――白身の味ってどんな味ですか?
個人的な感想にはなりますが、白身に少し塩味が効いていると感じます。お客様からも「王様のたまごは、白身も美味しい」と言われます。

――松浦さんのおすすめは?
王様のたまごは、定番の卵かけご飯がやはりおすすめです。産みたての卵を卵かけご飯にして食べると感動します。新鮮な卵は黄身だけを掴むことができます。これを体験できるのは生産者の特権だと思います。

――黄身をつまめるのは何日くらいつまめる?
実験したところ産んでから5日目まではつまめました。お客様のところに届いた際も、到着してすぐでしたら、つまめるかもしれません。コツは黄身を広範囲にしっかりめにつまむことです。ぜひ挑戦してみてください。

養鶏家として地元の農業を盛り上げたい

全ては美味しいモカベリーのために

――松浦さんの今後の展望は?
自分としては、農産物の生産、販売を通して、養鶏家としての技術を磨き、人としても成長したいです。失敗を恐れずに何事にも挑戦し、焼津市の農業を盛り上げる人の1人になれたら嬉しいです。

また、ゆくゆくは私を中心に養鶏事業を回せるように技術、知識の習得をしていき、それらを次世代に受け継いでいけきたいです。

人にとって1番大切な食を支えているのは農業であるのにも関わらず、汚い、つらい、儲からないといった世間の印象もあり、農業従事者はどんどん減っていくばかりです。

これからはもっと消費者に農業に対する興味を持ってもらえるような情報(どのように栽培、飼育をしているのか、こだわりは何かといった情報)を、生産者が発信することで、顔の見える関係性を作っていきたいと考えています。

実は「卵ソムリエ」の資格も取得しました。
養鶏について、鶏についての情報を消費者の皆様にもっと知って頂きたいです。自分が積極的に発信していきますので、楽しみにしていてください。

編集後記

松浦さんと話していると、本当に鶏が愛おしいんだな~と伝わってきました。そして鶏たちの表情から、幸せそうなオーラを感じるのは、私だけでしょうか?
「王様のたまご」を送っていただき、黄身をつまむチャレンジをしたところ、見事成功!!!黄身がピンポン玉みたいにプリプリで感動しました。近所のスーパーで買ってきた卵と食べ比べると、確かに味が濃厚で、白身まで美味しいのがわかります。梱包も丁寧なのでギフトにしてもお贈りしたい逸品です。

  • この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
  • 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
  • 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。
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ライター情報

  • Noumusubi
  • Motty

    農むすび編集長。埼玉県深谷市出身。農家の孫。日テレAD時代、おしゃれカンケイを担当。農家さんの人となりをドラマチックに伝えたいと取材記事を書きはじめた。好きな農作物はメロン。農業は自然の恵みあってのもの。神社のお祭りで五穀豊穣を祈るのも、大切にしたいと思っている。

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