中学2年生の虫博士Daiyaによるミツバチの秘密!もし絶滅したら4年後には人類も滅びる?
中学2年生の虫博士Daiyaによる「ミツバチ調査」。第一弾は、アインシュタインが「ミツバチが絶滅したら4年後には人類も滅びる」といった謎に迫ります。人間にとって大切なミツバチの驚きの生態と働きをお伝えします。
きっかけはアインシュタイン!養蜂家に興味をもつ
僕がミツバチに興味を持った始まりは、家の庭にあるナンテンの木に、ミツバチが来ていたことです。
近くの公園を散歩していた時に、柵に囲まれている1本の木の中にニホンミツバチの巣がありました。「ここから来ていたんだな」と思い、うれしくなりました。
虫好きの僕が憧れることの一つに、農業をしながら養蜂をすることがあります。なぜなら、野菜や果物などの農作物の多くは、ミツバチの受粉で実るからです。
「世界の食料の9割をまかなう100種類の作物のうち、70種類以上はミツバチが受粉を媒介している(2011年・国連環境計画報告書)」という報告もあります。
僕は、アインシュタインが警鐘を鳴らした、蜂がいなくなったら、人類が生きられない環境になってしまうという言葉をきっかけに、「もし、地球からミツバチがいなくなったら、どうなるのか?」という疑問を調べてみたくなりました。
僕が生まれた年の2006年頃から、ミツバチが世界中で減り始め、原因不明の大量死が巣では起きたり、ミツバチが一斉に突然姿を消す現象や、蜂群崩壊症候群(CCD)が起きて全米で養蜂家が被害を受けた報告があることも知りました。いろんな説があって、ネオニコチロイド系農薬の原因説や、温暖化や電磁波など、いずれにしても環境が不安定なのはミツバチにとって好ましくないことです。
一生でわずか。小さなスプーン1杯のハチミツ
1匹のミツバチが一生に集める「ハチミツ」の量はわずかで、小さなスプーン1杯程度の約5gだそうです。1日3,000カ所の花を授粉して、最高2km先まで行けるミツバチの距離を、もし、人間の体で動くとしたなら、月と地球を往復する様子をイメージしてみるとその凄さが理解できます。
オスバチの仕事、女王バチの仕事
1つの巣箱には、約1万匹のミツバチが集団で、コロニー(群)を作っています。そのうちオスバチは、たった1割程度です。働きバチは、すべて、メスです。オスには、蜂の象徴である「針」もなく、ハチミツを集めるような仕事はしません。ちょっと残念な感じもしますが、オスの役割は子孫を残すことです。
産卵の時期になると、オスバチが数千匹生まれて、女王バチと交尾します。女王バチは毎日1,000個から2,000個の卵を、ひたすら産み続けます。ミツバチの世界では、一匹一匹が仕事を分担して、コロニーを支えているんです。
そして、一つのコロニーに女王バチは1匹です。
女王バチが2匹になったら、古い女王バチが巣を出ていく「分蜂」という引越しが始まります。女王バチと働きバチはセットでないと生きていけません。実は女王バチは自分でご飯を食べることができないので、働きバチに与えてもらうことになります。働きバチはそこで女王バチの健康チェックも行い、それを仲間たちに教え合うんです。
女王バチが食べるのはロイヤルゼリーが主で、蜂の巣の抗菌作用があり、菌を寄せ付けないためにするのがプロポリスとなります。
刺すと死んでしまう!ミツバチの寿命は?
ミツバチの寿命については、女王バチは約3年程度で、一般職の働きバチは成虫になった後は約1カ月程度です。
働きバチは、生まれて2〜3週間ほどは、巣の中で巣づくりをして、巣の掃除や幼虫のお世話、ハチミツの管理といった仕事をします。そして最後の1週間〜1週間半ほどで、蜜集めに走り回ります。
やがてミツバチは死期が近づくと、より遠くに飛ぼうとすると言われています。これは、巣の中で死んでしまうと、自分の死骸の処理を仲間がしなくてはならないためだそうです。
そんな仲間を気遣うミツバチの行動が、僕は好きです。他にもミツバチは、フェロモンや振動音、接触などで、お互いに会話をすることがわかっています。知るほどに、ミツバチの生態や暮らしについて驚くことばかりです。
日本にいる蜜を集めるミツバチは、セイヨウミツバチとニホンミツバチです。
外来種のセイヨウミツバチは、蜜を取る能力が高く、巣を捨てることがないので管理しやすいそうです。
一方、ニホンミツバチは繊細で、ちょっとした環境の変化で巣を捨ててしまうので、管理が難しいようです。受粉用に使われるミツバチはセイヨウミツバチが主になり、日本の養蜂家の多くはハチミツの生産よりもミツバチの貸し出しで生計を立てています。
そして、おとなしい生き物のミツバチが思った以上に刺さない理由は、針を一度でも刺すと自分の内臓も取れて死んでしまうからです。なので、敵に対して針を刺すときは、本当に命がけの状態になった時だけとなります。
ちなみに、スズメバチは何度でも針を刺すことができ、基本的に肉食なので凶暴です。
ミツバチと人間が生きるために
一般的に、蜂は「刺される」「こわい」と言ったイメージもあるけれど、ミツバチは良い環境をつくるバロメーターだと言われています。ミツバチが人間にもたらしてくれる恩恵は、想像以上に多くあります。
たとえば、乳牛のエサの大半は、ミツバチの受粉を必要とする干し草になるので、その影響は、牛乳やバターという加工品にまで及ぶことになります。もちろん牛肉も同じです。
そうなると、世界のミツバチの数が減少した場合、世界的に価格が高騰して入手困難になる恐れがあります。さらには、地球の肺とも言える森にある植物も、ミツバチの受粉によって支えられています。ミツバチがいなくなれば、森が消える。それだけでは終わらず、森が消えれば、海の生態系も破壊されていきます。結果、人間が食べる食料が不足しまうのです。
その点を踏まえると、アインシュタインが「ミツバチが絶滅したら4年後には人類も滅びる」と警鐘を鳴らした説は侮れません。ミツバチが生きやすい環境のために、「人間は何をすればいいの?」僕は、考えてみました。
1. 買い物に気をつける(できるだけ薬品の使用を減らす)
2. 花や木を植える(生き物がよろこぶ行動をする)
3. 自然に感謝をする(自然界の働きを忘れない)
家庭菜園やガーデニングにおいても、気軽に除草剤など知らずに使って生態系を壊すことがないようにしたり、ミツバチや生き物がよろこぶ環境のために、化学的な薬を減らして、植物と命を増やすことなど、僕もみんなもできることです。
人間にとって大切なミツバチの存在を知って、人から人へと伝わって、少しでも日常で意識して行動をしていく小さな活動家が増えたらいいなと思います。
編集後記
家で育てているヘイケボタルの羽化に成功しました!
暗闇で発光するキレイな光が見られてうれしかったです。
第二弾は調査に協力をしてくれた「はちみつ工房」への取材記事になります。
- この記事の情報は掲載開始日時点のものとなります。
- 農作物は、季節や天候などにより状況が変わります。
- 掲載内容は予告なく変更されることがありますのでご了承ください。